2022年9月30日金曜日

音楽で生きるための場所の選び方

 


24歳でボストンのバークリー音楽大学に行った僕は、そこからニューヨーク、東京、大阪で活動し、65歳で吉野に移住しました。

僕はミュージシャンなのでそれぞれの場所で音楽活動を行ってきているわけですが、都市の規模は、活動をするうえで非常に大きな影響がありました。

今日は僕なりにですが、それぞれの場所で過ごした印象と感想を挙げてみようと思います。

①大都市(ニューヨーク・東京)
 環境:消費文化として大規模な市場を創出している。
 ・初期投資費用が高く、大手も多く競争が激しいので個人レベルでの独立自営は困難。
 ・学校のレベルは高いが、生活費が高く、勉強に打ち込むには条件が必要。
 ・生活費が高く、収入重視の仕事をするようになり、自分の作品に取り組むことは難しい。
 ・メジャーデビューができる可能性が僅かながらも比較的高い(地方との差は激しい)
 ・仕事を選ばなければ、仕事がなくなることはない。

②地方都市(ボストン・大阪)
 環境:市場の大部分がアマチュアやセミプロを対象として形成されている。
 ・客が多く見込め、維持費が大都市に比べ安いので、独立自営が比較的容易。
 ・生活費が比較的安く、学校が充実しているので、勉強をするには最適。
 ・アマチュア・セミプロによる活動が市場を支えている。
 ・メジャーデビューは困難。
 ・アーティストとして就業できる場所は多くない。
 ・関わる人が多くなり忙しくなりやすく、自分の作品に取り組むには工夫が必要

③田舎(吉野町)
 環境:市場としての開拓はないが、アーティストの移住先として注目されている。
 ・初期投資が少なく独立自営は可能であるが、持続させるためには工夫が必要。
 ・居住費用が安く、環境が良いので自分の作品に取り組むことができる。 
 ・近年リモートレッスンもあり、地方都市に近いレベルで学べる。
 ・学ぶ場所は少ないが、アーティストが居住しており、質の高いアートに学び、触れる機会がある。
 ・アーティストとしての安定した仕事はほとんどなく、収入を得るには自立自営が必要。

東京では生活するためだけに音楽を仕事にしていた僕は、過労で倒れて帰郷しました。
大阪では、学校経営と研究の両方に打ち込みましたが、忙しくなると同時に手狭になりました。

僕は、あくまで自分なりにですが、活動場所を選ぶときの条件を以下のように考え、吉野町への移住を選びました。

・誰かに雇われるかたちで音楽活動をしたいのであれば大都市
・学校経営や勉強など教育に関わることや、セミプロとして活動するのであれば地方都市
・創作活動を行い、自分自身のマネジメントで活動するのであれば田舎

吉野町で、僕は、僕の想像以上に自由になりました。

経済的には、コロナ禍もあり綿密なつもりで立てた計画の7割も実現しませんでしたが、それを補ってあまりある自由を手に入れたと思っています。

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