2022年10月14日金曜日

田舎暮らしの近所づきあいで一番気をつけていること


 僕は住んでいる場所は、田舎とはいっても、「ポツンと一軒家」ではありません。

昔は参勤交代の大名行列も通ったという街道沿いで、家が建ち並んでいる集落です。

大きなお屋敷も多く、昔は、旅館があり、お店があり、とてもにぎやかな場所だったそうです。

僕の家も、仕事場のほうはお米屋さんと着物屋さん、その昔は素麺工場、その昔はお医者さんだったと聞きました。住居にしている家のほうは、畳屋さんだったりうどん屋さんだったりしたと聞きました。

ですから、近所にたくさんとはいえませんが人が住んでいて、自治会も隣組も健在です。

若い人はあまりいません。68歳の僕が若手と言われるくらいですが、僕より年上の方々が僕よりもずっと元気です。

ここで僕が何よりも気をつけたことは、周りの人に安心してもらえる生活をすることでした。

住んでいる場所に新しい住人が来るときの不安は、田舎も都会もありません。

僕は大阪心斎橋で、20年間同じビルに暮らしていましたが、住人の出入りがあると、どのような人が来るのか、とても心配でした。

特に僕はずっと一人暮らしだったし、住んでいるところで、大家さんの許可を得ているとはいえ音を出す仕事をしていたので、何かあれば大変なことになります。たくさん住んでいる人の中で、ひとりでもトラブルメーカーがいれば、それは生活そのものを脅かします。

近所づきあいのまったくない場所でもこれだけ不安なのに、昔から知っている場所に遠くから来た他人が入ってきて暮らしはじめたときの不安は大変なものだと思います。

特に僕は、吉野に知り合いもなく、吉野で働いたこともなく、まったくゼロからのスタートです。しかも昼も夜もない自由業なので心配をかけるに違いありません。

ですから僕は、移住するときに、同じ場所で暮らす皆さんに対して謎をつくらないことに決めました。

僕たちが何もしなくても、引っ越して来たときから、隣組の方々も、自治会の方々も、僕たちを暖かく迎えてくれて、助けてくれました。

ですからなおさら僕たちは、一日でも早く安心してもらえるよう、できるだけこちらの生活が見えるように暮らし、聞かれたことには全部答えて、聞きやすい雰囲気でいるようにつとめました。そしてこちらも、わからないことがあれば全部聞きました。

夫婦仲もそうですが、プライバシーよりも、安心してもらうことのほうがずっと大事です。安心とは精神の安定であり、信頼です。

そしてそれは、暮らしのセキュリティの良さに繋がります。

安心してもらうことに気をつけて始めた田舎での暮らしですが、3年経ってみると、僕たちのほうが安心させてもらえていて、やはり、吉野に来てよかったと思っています。


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