2022年10月31日月曜日

クラシックとジャズの同じところと違うところ


 


昨日10/30は畝傍駅音楽マルシェというイベントに出演しました。

今回僕は、シンセサイザーを持ち込み、1曲目に完全即興演奏にチャレンジしました。

僕は即興演奏が大好きです。

というよりも、僕は楽譜が読めなかったので、ピアノを思う存分弾くには即興演奏をするしかありませんでした。

反対に、クラシックを学んだあとジャズに転向した人が苦労するのがこの即興演奏です。

クラシックとジャズの違いには、
  • リズム
  • ハーモニー
  • 楽譜の表記(コード)
  • 即興演奏
などがありますが、このなかで、リズムとハーモニーについてはクラシック音楽にも使われていることも少なくありません。

ドビュッシーは、ケークウォークというジャズの発祥に関わるリズムを使った曲を作曲しており、ハーモニーにもジャズの特徴が見られます。




ジャズの本場アメリカでは、ポール・ホワイトマンとガーシュインが、ジャズをオーケストレーションしてクラシック音楽と同じ語法で演奏し、シンフォニック・ジャズとして発展させました。



現代では、ロシアの作曲家カプースチンが限りなくジャズに近い曲を作曲しています。




ほか、ラヴェル、プロコフィエフ、バルトーク、ストラヴィンスキーなど、ジャズと共通する特徴を持った曲を作っている作曲家は少なくありません。

ですが、それらはすべて、譜面で細部まで指示された音楽です。

ジャズの音は出ていても、そこに即興演奏の要素はありません。ジャズの楽譜は即興演奏ができるようにコードが使われているので、もちろんこちらもありません。

ジャズを学ぶということはこの即興演奏を学ぶということなので、クラシックを演奏していた人の多くが、最初はとても戸惑います。

楽譜から情報を得て演奏していたプレイヤーが情報源を失い、まったく別の方法で演奏しなければならなくなるのですから、言語の違う国へ行くのと同じような状態です。

クラシックで高度な技術を持った人ほど、即興演奏に挑むときは崖の上から飛び降りるような勇気が必要になるようです。

ですが、即興演奏はクラシックと全く無縁であるというわけではありません。

モーツアルトが即興演奏を得意としていたことはよく知られていますが、バッハやベートーヴェンも即興演奏の名手でした。

ベートヴェンを主役とした手塚治虫の漫画「ルードヴィヒ・B」に、ベートーヴェンがモーツアルトにテーマを与えられて即興演奏をするシーンや、変奏をするシーンが描かれていると同時に、即興演奏や変奏についてページを割いて説明されています。

即興演奏について、絵をつけてわかりやすく説明してありますので、ぜひ読んでほしい一冊です。


ベートヴェンの時代の即興演奏と、ジャズの即興演奏は、本質的には何も変わっていません。

ジャズの即興演奏は、変奏曲そのものです。

「変奏曲」

「即興曲」

クラシック曲の題名によく見るこれらの言葉と同じことを、ジャズもしているというわけです。

ショパンも即興演奏の名手でした。

サロンでは、誰かが紙片にテーマを書いて、それをショパンが即興演奏するといったこともあったそうです。

作曲家だけではなく、演奏家も、ピアニストのパハマンは、変奏とはいかないまでも楽譜にない音を足すことで有名で、レコード録音で喋ったりと、自由に演奏している様子がうかがえる演奏が残っています。




ジャズ理論とは、作曲理論です。

コードが発明される以前のことなので形は違っていましたが、クラシックでも、この理論を使って即興演奏を楽しんでいました。

クラシックを学んできた人がジャズに移ることは確かにはたいへんですが、ショパンやベートーヴェンなど美しい楽曲に体で触れてきたことや、安定したテクニック、特に左手が動くことは大変強力な武器になりますので、クラシックを習っている皆さんにも、ぜひ思い切ってジャズにチャレンジしてほしいと思っています。

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