僕がピアノを始めたのは、小学校3年生のときでした。
小学校卒業と同時くらいにおけいこをやめて、また弾き始めたのは高校2年生のときでした。文化祭で「レット・イット・ビー」を弾きました。
そのときにはギターを弾けるようになっていたので、「レット・イット・ビー」はコードネームで弾きました。僕がコードネームでピアノを弾くようになったのはそのときからです。
僕はプロとしては、ピアノを始めるのが一番遅い組にいるピアニストだと思います。
指だけは苦労しなくても動きましたが、小さな頃からピアノを弾いている人たちに比べて上達が遅いので、特にアメリカに行ってからは非常に苦しみました。
その僕がピアニストになれたのは、ジャズピアノを始めたときから、ジャズ理論を勉強したら、それを必ず指から出せるように意識してきたからだと思います。
たとえば英語でも、文法をいくら勉強しても、意識して訓練しておかなければ口から言葉として出すことはできません。
ジャズピアノも同じで、ジャズ理論をマスターしても、頭がおぼえているだけで体と繋がっていなければ、演奏することができません。
ジャズ理論は、船にたとえると舵のようなものです。エンジンは情熱であり体力です。ピアノの練習そのものであるといってもいいと思います。
そのどちらが欠けても僕が弾きたいと思うピアノは弾けなくなるだろうと考えて、僕は、最初からその二つを繋げることに一番力を入れました。
理論をおぼえたらそれを体に叩き込むという作業はとても時間がかかりましたが、結果的に一番近道だったと思います。
舵とエンジンが繋がっていないとうまくいかなくなるのは人生でも同じことで、頭で考えるだけでも、体力にまかせているだけでも、よい結果を得られるのは難しく、頭脳と身体をリンクさせることで始めて目的地へ向かうことができるようになるのではないかと思います。
僕は近道が好きなので、人生もジャズピアノもそのように意識しています。
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